将来の「徴兵制」導入への布石か?「教育基本法」の改悪
安倍政権が誕生してやがて2ヶ月、「戦後レジームからの脱却」とエラそうに口にしたABE-TANが真っ先に「愛国心」盛り込みの「教育基本法改正の成立」に執念をみせている。その強行採決が目前に迫っているわけだが、「教育の憲法」といわれる教育基本法をそんなに安易に改悪していいわけはない。ABE-TANがねらっているのは、戦前に逆戻りしかねない“国民皆兵教育”だ。つまりは、将来の徴兵制に備えて、従順な兵士となるような若者を増産させようとする教育基本法への改悪ではないのか。 当初、安倍内閣の党人事・閣僚が発表されたとき、私もまず「ゾッ」とした。その第一は、「教育再生」推進のため設立された「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」の初代会長・中川昭一が政調会長に就任したことだった。安倍も同会設立当初は事務局長として中川とともに同会推進に大きな役割を担っている。この若手議員の会は「敗戦前の植民地支配や侵略はなかった、それがあったと認めることは『自虐史観』だ」といってはばからなかった連中だ。同じような思想信条の持ち主で構成される「新しい歴史教科書をつくる会」が著者となる『新しい歴史教科書』の教科書を積極的に採択させようと血道をあげて支持もしてきた。今回の組閣では、同会メンバーの事務局次長だった下村博文内閣官房副長官、高市早苗沖縄・北方相、支離滅裂でどうしようもない過激発言が目立つ山谷えり子教育再生担当・首相補佐官などが起用された。このほか、ABE-TANのブレーンとして「外交、教育政策を提言する有識者」メンバーには「伊藤哲夫・日本政策研究センター所長、島田洋一・福井県立大教授、中西輝政・京大教授、西岡力・東京基督教大教授、八木秀次・高崎経済大教授、岡崎久彦・元駐タイ大使、葛西敬之・JR東海会長」らの名前が上がっている。まさに「教育基本法改正」に的を絞ったとしか思えない布陣である。 マスコミはこうした布陣について名前は出すものの、その人物たちのこれまでの行状については、イマイチ歯切れの悪さを見せている。むしろ、田原総一朗に代表されるテレビでの報道番組などでは、積極的に彼らを番組に呼び、好き勝手なことをしゃべらせているではないか。かつて田原はテレビの番組で、西岡力などのうさんくささにふれながらも、「あまり批判をすると、拉致家族や救う会への取材ができなくなるんですよ」といっていたことがあったが、その田原をして、八木秀次や岡崎久彦らへの迎合ぶりには眼をおおいたくなる。それにこうも言ったな。「加藤さんの家の放火事件があって以来、アンチ小泉、安倍派と思われる人に出演依頼をしても、怖いからと断られるんですよ」と、すべての責任は右翼にあるといわんばかりだったが、果たしてそうだろうか。私には、自分の論敵となる人物をさも同情したような顔をして排除しているに過ぎないように思われる。だったら、好き勝手なご託を述べる人物ばかりを集めての討論などしてほしくない。堂々と、報道の自由や発言の自由を脅かすものは誰なのか、そのわけはなんなのかを追求し、貴重な公共の電波をもっと有意義に使ってほしいといいたくなる。すでに賢明ないくつかのブログなどで、「田原はもういらない、早々に引退せよ」といった提案がなされている。私も、それを強く望む一人である。 そんな田原のことはさておいて、ABE-TANはいま、教育基本法の改悪を国会の多数決で押し切ろうとしているのだ。なぜ、いま教育基本法の改悪を急ぐのか。私にも、そこがどうしても理解できない。教育基本法第一条(教育の目的)は次のように明記されている。「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行わなければならない」 要は、この条文を忠実に実践すれば、問題のある「愛国」という言葉をわざわざ使わずとも国を愛する精神は十分に育むことはできるのではないのか。私たちは数十年この精神を受け入れ、これにそった多くの教育理念を身につけてきたはずではなかったのか。そうでないというABE-TANよ、それは単にあなたがあまり勉強しなかったからではないのか。この教育基本法の前に、画期的な新憲法が発布され、平和憲法と現行の教育基本法との両輪相まって民主的で平和的な国家再建の基礎が確立せられたのだ。もちろん教育の理想的な実現は、まだ成し遂げられたというものではないが、それは現基本法においての教育の力を待つべきもので、あえて改悪するにはあたらない。それをあえて変えたいとするのは、現行の憲法を変えたいというABE-TANのミリタリズム的思惑があってのものだ。 私は訊きたい。現在の教育基本法の崇高な精神のどこが改悪に値するのかを。むしろ教育基本法は変えることなく、その理念の実現のための問題解決をしていくのが本筋ではないのか。いみじくも、先日の党首討論(11月8日)で民主党の小沢党首が「教育基本法を改正させることで、いじめや必修科目の暦修漏れはどうなるのか、そこがわからない」と攻めたが肝心のABE-TANは「いろいろと条文に盛り込んである」と逃げた。小沢の淡々とした口調に比べ、ときに唇をなめながらのABE-TANの早口が対照的で首相答弁としては説得力に欠けていた。 いま「連中」が変えたいと言っているものを変えて、絶対に良い方向には行くはずがない。先にあげた連中の顔ぶれ見ればもっと酷い状況が待っている。国民を、特に若者を意のままに操る徴兵制が彼らの究極の目的なのだ。そのためにも、教育基本法を是が非でも改悪して、「国を愛する心」とやらを植えつけ、この国を強固な軍事国家に仕立てようとしているとしか思えないのだ。 「野党は15日の中央公聴会開催など審議の継続を主張しているが、民主党内では16日以降の採決を受け入れる意見が出ており、同改正案は来週中に衆院を通過する見通しが強まった。 本日づけの「保坂展人のどこどこ日記」に次のような記述があった。教育基本法、採決日程をめぐる決戦の前に 「16日採決が既定路線に見えていた教育基本法衆議院採決が、民主党幹部が『与党との対決姿勢』を強めていることで揺らぎ出している。もう一息だ。明日は、教育基本法特別委員会で午後質疑に立つ。野党4党が結束すれば、安倍政権が最重要法案としている教育基本法採決阻止の見通しが開けてくる。野党全体を多くの皆さんが期待をもって激励してほしい。」 http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/b820e3ccf9466ff9d35d96d12e4bec59 いまの私たちは、保坂のこの言葉を信じるしかないのか。
野党も、なんとだらしないことか。
『衆院で止めるのは難しいと思うが、参院で国民世論の理解を得るよう頑張る』。野党筆頭理事の中井洽氏は7日の民主党代議士会で語った。衆院採決を近く容認することを示唆し、抵抗のバトンを参院に渡す『終戦』宣言と受け取られた。」(毎日新聞 2006年11月8日 東京朝刊)
タウンミーティングでのやらせのニュースが続いていている。11月10日の朝日新聞によれば、教育基本法改正の立場からの「やらせ質問」は8回のうちの5回でやらせがあった、との内閣府の調査結果を報道している。これまでも、こういうことは、なんとなく当たり前のように行われたとしかいいようがない。世論を誘導するためのこういった手法はタウンミーティング以外には行われなかったのか。はなはだ疑わしいといわざるをえないだろう。
| 固定リンク | コメント (3) | トラックバック (0)

最近のコメント